光速ヒーローは幸せになれない⁉

  • URLをコピーしました!

この記事では、物理に詳しくないデザイナーが趣味で調べた内容を共有します

もし間違いや補足があれば、ぜひ教えてください

はじめに

黄猿や黄金聖闘士、フラッシュといった光速キャラクターが好きです

光速にはロマンがあります

光速のキャラクターはたくさん存在しますが、現在の科学では物体に質量がある場合、

光速移動は出来ないとされています

したがって、現実世界では光速で走ったり、光速のパンチを出すことは不可能だと考えられています

もくじ

もし光速を出せるとしたら、どうなるでしょうか?


諸説がありますが、私は以下の2つが好きです

「光速で走ると何も見えなくなる」


光速で移動すると、自分自身や一緒に光速で移動している物体は普通に見ることができますが

自分に対して静止している周囲の風景は見えなくなります


この説の根拠は、光行差と光のドップラー効果です


光速に近づくと、光行差により自分に届く光は進行方向に集まります

同時に、光のドップラー効果により、可視光が紫外線やX線になり見えなくなります

光行差について

特殊相対論的効果としての光行差について、弘前大学 葛西真寿さんの説明が分かりやすかったです


「止まっているときに360度全部が光っていても、その光に対して光速に近い速度で移動すると

移動している人からは光が進行方向に寄ってきて集中するようにみえます」


光が集まるので進行方向がより明るくなり、それ以外の方向は暗くなります

※詳しい仕組みは難しいので省略します


光行差による光の集まりは視覚効果としては魅力的ですが、

実際の物理法則には違反してしまう可能性があります


亜光速で移動すること自体が、現在の科学の知識では困難な課題であり

光行差の効果もまだ理解が進んでいない部分があります


※つまり現時点では理論上の話に過ぎないようです

光のドップラー効果について

光のドップラー効果とは、光が物体や観測者の運動によって周波数が変化する現象です


物体が観測者に接近すると、光の波長が短縮されます

波長が短縮されると周波数が増加して、青方向にシフトされます


とんでもなく早く走ると、前方の風景が青味がかって見えます


人は光の周波数を色で認識しています。


簡単に説明すると、光の色は周波数の増加で下のように変化します

赤外線(見えない) → 赤 → 黄 → 緑 → 青 → 紫外線(見えない)


速度の上昇に伴い、進行方向の風景は青に近付きます

人間など、熱をもつものから放射されている赤外線は赤に変わります


見えていた青や緑は紫外線になり見えなくなり

見えなかった赤外線は赤や黄に変化します


その赤や黄も速度の上昇で青から紫外線へと変化して、見えなくなります


更に詳しく

特殊相対性理論において物体が運動する場合に、相対する時空間が縮んで見えます


つまり、ものすごく早く走ると進行方向の風景が縮んで目の前に来ます(※1)

可視光の波長も短縮されて、周波数が上昇しているように観測されます


※1
光行差で周囲の風景が前方に集まるので、前方の風景は小さくなります

その結果、風景が縮んで目の前に来るのに、小さくなったことで

風景が離れていると錯覚します

参考:Captain Einstein(http://captaineinstein.org/index.php/doppler-extravaganza/)

「光速中は時間が停止する」

光には時間の概念がないため、どれだけ移動しても主観的な時間はゼロという説です

光速移動中の感覚や思考、時間の経過が存在しません


感じ方としては、SFの転送のようなものを想像します

転送中は移動や時間を意識出来ないのと似ています


現時点では光速移動は出来ませんので

二つの説のどちらが正しいのか、別の正解があるのかは

科学の発展を待たなければ分かりません


光速ヒーロー

黄猿

まず最初のキャラクターは、光の能力を持つ光人間「ワンピース」の「黄猿」です

能力は以下のとおりです

  • 光になって光速移動
  • 指先からのレーザービームの発射
  • 覇気以外の攻撃を光になることで無効化
  • 光速の蹴り
  • 光の剣(ライトサーベル)
  • レーザービームを全方向に乱れ打ち


黄猿の能力を考察します

光になって光速移動

質量のあるものは光速に到達することができないという制約を、

質量のない光になることでクリアしています


相対性理論では光には時間の概念が存在しないため、黄猿の主観では移動を認識することはできません

スタートした直後にゴールに到着しています

黄猿は光になっている間、時間の経過が存在しません

したがって、彼が何万年もかけて別の星に旅行しても、彼の主観では経過時間はゼロとなります

光速移動や光テレポートが実現すれば、主観0秒の宇宙旅行が実現出来ます

指先からのレーザービームの発射

黄猿の弱点は、光速の技を出すまでのポージングや技名の詠唱に時間がかかることです

指先からのレーザービームはポージングが速いため、地味ですが効果的な技と言えます

覇気以外の攻撃を光になることで無効化

黄猿は光となることで切断や破壊を無効化することができます

黄猿を捕らえるには、超重力で閉じ込める必要があります

光速の蹴り

「光速の蹴り」は光速ではない可能性があります


現代では、光速を出せるのは光など質量のないものとされています

光では相手を熱で溶かすことは出来ても、吹き飛ばすことが出来ません


相手を蹴って吹き飛ばすには、足に質量が必要です

質量があると光速で移動することは出来ません


それでは仮に、亜光速で蹴ることは可能でしょうか?

結論から言うと、亜光速でも蹴る事はできません


亜光速で蹴ると、足と空気で核融合が起こります

作中の描写にように、蹴りで数十メートル吹き飛ばすような平和な戦いではなく

蹴った瞬間空気はプラズマ化し周囲数キロの物体は消滅

その後長い間、放射能汚染が続きます

光の剣(ライトサーベル)

光を棒状に固定することは現在の技術では不可能です


光を剣の様に扱うには、連続的に発射される射程数キロメートルの

ビームが良いかもしれません


ビームが減衰する距離が、刀身の長さになります

長さ数キロの光の剣は、敵味方の脅威になります

ビームを全方向に乱れ打ち

これは『シン・ゴジラ』でゴジラも使用していました

非常に強力ですがエネルギー消費が激しい描写がありました


ビーム全方向乱れ打ちを連発する黄猿のエネルギー量は、ゴジラ以上かもしれません

黄猿まとめ

黄猿の能力が実現すると、ビームで最新戦闘機を撃墜し核融合で都市を殲滅します

マンガの表現はまだまだ控えめで、黄猿には余裕で世界を滅ぼす力が有ります

※以上の考察はあくまで一つの視点であり、作品ごとに独自の解釈や設定が存在することをご了承ください

黄金聖闘士(ゴールドセイント)

「黄金聖闘士(ゴールドセイント)」は、「聖闘士星矢」に登場するキャラクターで12人います

彼らは人間の通常の感覚を超えた力で、最強の戦士となりました

この力は「第七感(セブンセンシズ)」と呼ばれ、霊感や超能力などの六感を超越しています

黄金聖闘士たちはそれぞれ固有の特殊能力や技を持っていますが

共通しているのは「光速の攻撃」です

光速攻撃

光速でパンチを繰り出すと、普通はパンチと空気分子の衝突により数キロ圏内が消失します

しかし黄金聖闘士は、セブンセンシズに目覚めているので光速で攻撃しても核融合を起こしません

核融合を伴わない光速や亜光速の戦いは、普段見慣れている戦いとは異なります

まず、攻撃が目に見える前に当たってしまいます

物理的なパンチの先端と、先端からの光は同時に移動するため

パンチが当たった後に脳にパンチの映像が届きます

そのため、パンチを見てから避けることは不可能です

ウラシマ効果

地球から光速の99.99%の速さでロケットを飛ばし、折り返して戻ってくると

ロケットの中では1年しか経っていないのに、地球では70年以上も経過しているという

不思議な現象をウラシマ効果と呼びます

この効果は、相手に対して加速したり減速したりすると起こります

そして速度が光速に近づくほど、時間のずれは大きくなります

現在の科学では、質量のあるものは光速に達することはできないと考えられているため

光速で戦う黄金聖闘士の時間のずれは分かりませんでした


では、亜光速で戦ったらどうなるでしょうか?


もし光速の99.99%で加速や減速をしながら1分間戦った場合

黄金聖闘士の時間は、相手の時間より1時間以上遅れます


実力が近い黄金聖闘士の戦いでは、基本的に攻撃は当たりません


そこで相手より多く加減速することで、時間を進めたり止めたりする攻防があると想像します

相手の時間を進めて、空腹やトイレが我慢できなくなるのを待ちます


亜光速の戦いが千日戦争などの長期戦になと

地球の時間がどんどん過ぎ去っていきます


戦いが終わった後、家族や友人の時間は何十年も過ぎています

亜光速の戦いの後には、孤独で寂しい人生が待っています

黄金聖闘士まとめ

光速や亜光速移動中、戦う相手や風景はどう見えるのでしょうか?

以下が加減速の度に一瞬で変化すると予想されています

  • ドップラー効果の色変化
  • 光行差で進行方向に風景が集まる
  • サーチライト効果で進行方向が眩しい
  • ローレンツ収縮で風景が縮まる
  • テレル回転で物体の裏側が見える

止まった相手に亜光速で近付くと、相手は目の前に収縮し中心に向かって小さくなります

そして青くなり眩しく光ります

サイドステップで横に避けると、向き合っている相手の後頭部が見えたりします


この狂った様な世界で戦える黄金聖闘士は、凄いです

フラッシュ

フラッシュはDCコミックスのキャラクターであり、光速移動の力を持っています

スピードフォース

彼のスーパーパワーは「スピードフォース」と呼ばれる特殊なエネルギーから生まれています


彼は瞬時に目的地へと駆け抜けることができ、まるで瞬間移動しているかのように見えます

この能力はどのように実現されるのでしょうか?


科学的な解釈では、フラッシュがスピードフォースと呼ばれるエネルギーにアクセスし

それを利用して自身の質量を軽くすることで、光速に近い速度で移動できるのではないかと考えられています

光速移動の危険

光速移動は非常に危険な能力としても描かれています

速度が光速に近づくと、時間の流れが変化し、周囲の物体や人々に予想外の影響が及ぶ可能性があります

そのため、フラッシュは慎重に力を使い、スピードフォースとのバランスを保ちながら活動しています

フラッシュまとめ

日本のファンタジーな光速キャラに比べると、フラッシは少し科学的です

架空の世界を科学で説明することで、リアルな映像にできるのがフラッシュの魅力です


映画を見て、光速移動の能力を疑似体験しましょう!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
もくじ