はじめに
009やクイックシルバーが好きです
パワーや耐久力は無いけど、結構強いしかっこいい
あんな風に素早く動けたら、最高!
と、思っていました…
超音速の問題
衝撃波と断熱圧縮による高温
子供の頃、アニメの音速を超える走りに少し違和感が有り
音速を超えた際の衝撃波や、断熱圧縮による高温の描写がないのが不満でした
断熱圧縮による高温とは?
高速で移動する物体の、前方の空気が圧縮されて高温になる現象です
大気圏突入の際の高温の原因となります
超音速ヒーロー
009
地面を蹴る衝撃
大人になり、衝撃波や断熱圧縮の問題以前に、超音速の走りや戦闘が物理的に難しいことを知りました
人間は、地面を蹴って飛び上がりながら前に進み、重力で落下して再び地面を蹴って前に進みます
簡単に言うと「ぴょんぴょん跳ねながら走っています」
009は静止状態から、瞬間的にマッハ3まで加速します
体重は80㎏なので、運動エネルギーは4000万Jを越えます
マッハ3の一歩目で、足は4000万J以上で地面を蹴ります
これは、戦車砲の4倍以上のエネルギーになります
踏みつけるだけで、戦車を簡単に破壊出来ます
009がマッハ3で走ろうとすると、アスファルトに足がめり込んで
後方に向けて地面に大きな穴が空きます
エネルギーの一部は爆発や熱に変換されますが
残りのエネルギーは移動に使われます
初速マッハ3で45°の角度で地面を蹴ると、空気抵抗次第ですが
2万m位飛び上がり、飛距離が100㎞程で、滞空時間は2分程という計算になります
エベレストを余裕でを飛び越えられます
高く飛び上がらない様に10°位で低く踏み出すと、これも空気抵抗次第ですが
高さ1000m位、飛距離30㎞程で、滞空時間は30秒位です
これは1歩の計算結果です
初速がマッハ3だと100mを約0.1秒で移動できますが、止まるのに数秒を要します
空気抵抗
足を小刻みに動かして(1歩の力を弱くして)加速を滑らかにすれば、飛び上がらずに済みます
その場合、普通のランニングポーズでは、時速百キロに達する前に風圧で体が浮き上がります
体が浮き上がらない様にするためには、体を出来るだけ地面と平行にして
腕を前方に真っすぐ伸ばして頭を腕の間に入れる、水泳の蹴伸びの様な姿勢が有効だと思います
この時に頭を少しでも上げると体が浮き上がるので、注意が必要です
009まとめ
マッハ3では、一歩で爆発と衝撃波を残しどこかへ飛んで行くか
空気が水以上の抵抗になりまともに走れません
クイックシルバー
破壊
クイックシルバーはマッハ4なので、一歩目は7000万J以上のエネルギーになります
※009は4000万J
一歩を10°位で踏み出すと、空気抵抗次第ですが、高さ3000m弱まで飛び上がり
飛距離は60㎞位になります
マッハ4で数メートル移動して止まるには、出来るだけ低くスタートして
鋼鉄の杭などを地面に深く打ち付けて止まります
この時スタートとストップのタイミングで戦車砲何発分もの爆発が生じます
同時に、ハリケーンの数倍の暴風と衝撃波、加えて数百度の熱も生じます
映画では、爆発する家から高速移動で人々を助けるシーンがありますが
実際には、クイックシルバー本人が爆発以上のエネルギーで家を破壊します
1000G以上の負荷
映画でクイックシルバーは、爆発する家から人々を高速で放り投げたり
抱えて運んだりして助け出します
止まっている人間をマッハ4で放り投げると
投げられた人には千G以上の負荷がかかります
映画の様に50㎏の人をマッハ4で放り投げるには
数十t以上を放り投げる腕力が必要です
この時、服や靴でさえ、数トンの負荷になります
ちなみに、普通の人が耐えられる限界は4~5Gで
6~7Gになると目の毛細血管に血液が流れなくなり景色がモノクロに変化
8~9Gで呼吸困難です
50km/hで壁にぶつかると、9G以上の衝撃です
25G位が、背骨が損傷しない上限だそうです
そして、千Gだと人間は潰れます
体の一部を掴んで投げようとすると、その部分がちぎれます
マッハ4で抱えられた瞬間、戦車砲数発が着弾したのと同じエネルギーが
抱えた部分に襲い掛かります
弱点
009やクイックシルバーには、弱点が有ります
空中では加減速が出来ないので、ジャンプや自由落下で遅くなります
目の前の数メートルの高さに飛び上がるときは、ゆっくりジャンプしなければなりません
50km/hで垂直にジャンプすると、10mくらい飛び上がってしまいます
マッハ4で低いジャンプは不可能です
飛び降りは更に遅くなります
普通に飛び降りる際の落下速度は、普通の人と変わりません
そのため、天井や壁の無い高低差の有る場所での戦闘では超高速を生かしにくいです
頑丈
普段1000km/h以上から急停止しているヒーローは
どんな高空から落ちても大丈夫です
落下速度はうつ伏せ状態で200km/h位、頭を下にした高速落下で300km/h位なので
余裕で着地出来ます
ジャンプや自由落下を弱点としましたが、009やクイックシルバーにとって
この弱点など些細な事です
009やクイックシルバーのスペックは化け物です
- 戦車砲の4倍以上の衝撃に耐える、足腰と靴、腕と拳
- 数十トン以上の腕力
- 千G以上に耐える肉体
- 暴風と衝撃波と断熱圧縮の数百度に耐える、髪とスーツ
彼らに小さな傷をつけるのさえ、簡単には出来そうにありません
クイックシルバーまとめ
超音速で踏みつたり、数十トンの腕力で締め上げなくても
優しくかかえて急加速するだけで、大概の敵を倒せます